こんばんは、加熱式たばこブロガーのゲンキ(@MOQLOG_JP)です。
この記事では、アイコスはタバコより有害なのか?という疑問について、長年この業界について書き続けてきた加熱式たばこブロガーが解説していきます。
禁煙 がブームになっている昨今では、様々な商品が発売されては「それは安全なのか?」と議論されますが、筆頭商品のアイコスでも様々な噂が飛び交っています。
今回、注目のキーワードと言えば、「発がん性10倍」でしょうから、そのあたりも細かく解説していきますので、アイコスの有害性について気になっていた方は是非参考にしていってください。
加熱式たばこブロガー
国内最大級の加熱式たばこ、電子たばこブログ「モクログ(MOQLOG)」を運営。日本の加熱式たばこブロガーの一人。2016年3月より運営を開始、紙巻たばこに変わる加熱式たばこ、電子たばこの専門家として、たばこに関する様々な情報を発信中。
取材協力:oricon news 週刊プレイボーイ など
アイコスの害について
IQOSと言えば、世界一位のたばこ企業フィリップモリスが発売している加熱式タバコのブランドのことですね。
当時から変わらない謳い文句は、紙巻きたばこと比べて有害物質が 95%削減!で、紙巻きたばこに変わる新たなタバコ文化の土台を作った製品とも言えます。
アイコスを始めとした加熱式タバコは、たばこ葉を燃やさずに、電気の力で加熱するだけなので、タールや一酸化炭素がほとんど発生しない、これが95%削減の理由です。
そんなアイコスですが、2017年5月に驚きのニュースが拡散され、ちょっとした騒ぎに。それこそが、タバコよりも発がん性物質が10倍もある!というものでした。
アイコス「発がん性10倍」の噂
国内のあるメディアサイトで、海外ニュースサイトの情報を翻訳しているところがありました。
元ネタになったのは日本でも人気のロイター通信で、当時IQOSが世界で販売されはじめたばかりの頃に、IQOSの成分を調査した!というホットな話題。
しかも、その内容は一部の有害物質が 紙巻きたばこ よりも高い値で検出された!というものだったんです。
メディア運営者なら飛びついちゃう話題ですよね、それを翻訳して転載したのが国内で大騒ぎになったニュースの発端です。
アイコス「発がん性10倍」のニュース
新しいタイプの「熱を燃やさない」たばこは、従来の 紙巻きたばこ の煙に見られるのと同じ発がん性化学物質の一部を放出することが、最近の実験で示唆されています。
—中略—
研究チームは、加熱式タバコ が「従来の 紙巻きたばこ よりもはるかに高い濃度でこれらの化学物質の一部を放出した」ことを発見して驚いたと、スイスのベルン大学の主任研究者であるアウアー博士は述べています。
—中略—
「IQOSの煙には有害な化学物質が含まれていましたが、平均して濃度は低かったです」とアウアー氏は述べています。「IQOSがユーザーや傍観者にとってより安全かどうかを調べるために、さらに研究を行う必要があります」
※これは本文をGoogle翻訳で和訳したものの抜粋です。本文は参照リンク先をご覧ください。
アウアー氏の論文について、ポイントは以下の2つです。
- 紙巻きたばこ よりもはるかに高い濃度で一部の化学物質が放出された
- IQOSの煙には有害な化学物質が含まれているが、平均して濃度が低かった
- 発がん性物質が10倍とはどこにも書かれていない
参照:REUITERS ‘Heat-not-burn’ cigarettes still release cancer-causing chemicals
アイコス「発がん性10倍」の真相
「平均して濃度は低かった」と結論づけられているにも関わらず、発がん性物質が10倍含まれている、との噂が広まったのは、転載したメディアが大袈裟なタイトルをつけたことに起因しています。
ちょうどこのニュースが拡散したのは、IQOSブームの真っただ中で、新型のアイコス2.4プラスが発売されたばかり、SNSをはじめネット上でも様々な意見が飛び交いました。
そりゃあそうですよ、「紙巻きたばこと比べて有害物質を90%削減した」と言っていたIQOSが、その逆で、紙巻きたばこよりも10倍も発がん性が高い!となれば大騒ぎです。
アイコスも反論!「発がん性10倍」はデマ
こんなニュースが流れればIQOS公式も黙っているわけにはいきません。
以下の点でこの調査結果はおかしいと、公式回答として発表しました。
- アイコスとラッキーストライクを比較→科学の原則に沿っていない
- ラッキーストライクの有害物質の測定値も事実と異なっている→信ぴょう性がない
- ピアレビュー(同分野の専門家による評価)も受ていない→信ぴょう性がない
日本で広がった発がん性10倍は、元ニュースを大袈裟にしただけでなく、研究そのものも信ぴょう性に欠ける内容だった、ということです。
つまり、アイコスの発がん性はタバコの10倍というのは、人為的なデマだったというわけです。
アイコスは無害ではないが、紙巻きたばこよりも有害性は低い
こうやって書いていくと、まるでアイコスが無害かのように聞こえるしれませんが、アイコスは程度はともかく身体に悪影響のあるタバコ製品です。
それは冒頭アイコスの説明でも書いたとおり、たばこ三大有害物質のタールと一酸化炭素はほとんど発生しませんが、ニコチンは 紙巻きたばこ 並みに含まれているからです。
また、臭いもありますし、吸っている様はタバコそのものなので、紙巻きたばこと同じように喫煙ルールを守って使う必要があります。
アイコスはタールや一酸化炭素をほとんど発生させないニコチンのみを摂取できる次世代タバコ製品
有害物質ランキング
タールは物体を燃やした時に発生する粘着性の物質で、よくタバコを吸っていた人がレントゲンをとったら、肺が真っ黒だった(汗)なんて話は、このタールによるものです。タールは発がん性物質を含むだけでなく粘着性が高いという特徴もあり、喉や気道に付着することで咳や痰の原因にもなっています。受動喫煙による副流煙でも問題になる成分です。
ニコチンは発がん性物質は含まないとされるものの神経に害を及ぼす毒物の一種で、麻薬などと同様に依存性がある物質です。過去には殺虫剤などにも利用されており、心臓や血管などにも負担を与えてしまうという作用があったり、血液などもドロドロになってしまう作用もあるので、動脈硬化の原因にもなっているんです。
一酸化炭素が危険な理由は、血液中に一酸化炭素があると、酸素が全身に届かなくなってしまう為で、過度に一酸化炭素を体内に取り込んでしまうと一酸化炭素中毒という症状になり、場合によっては死に至ることもあります。よく言う「ヤニクラ」の原因も、ニコチンによる血管の収縮と、一酸化炭素による酸欠によって起きています。
精神科医マイク・ラッセル氏の言葉「ニコチンを求めてタバコを吸い、タールによって死亡する」
ニコチンも有害性はあるが、たばこの発がん性などの有害性を考えたとき、タールのほうがよほど有害であるということ。
厚労省による加熱式タバコの有害性の調査結果(IQOS、glo、ploomtech)
厚労省依頼の国立がん研究センターの調査
加熱式タバコ Aがアイコス、Bがグロー、Cがプルームテック。ちなみにこの表は、12回吸引に含まれるニコチン濃度を表しています。アイコスをメビウス・ライトと同程度と仮定すると、アイコスのニコチン濃度は0.7mg、グローが0.3mg、プルームテックが0.1mgということになります。
アイコスとプルームテックの優秀さが目立ちます。グローは少し多く見えますが、この表は紙巻きたばこの主成分100%として、WHOで定めた特に有害な物質の割合を示しており、ほとんどの成分が10%を切っているので、アイコスやグローの有害物質90%カット、プルームテックの99%カットをしっかり裏付けとなっています。
メーカーサイドからの調査や検証は信憑性が疑われてきましたが、これは厚労省からの依頼で行われた国立がん研究センター委託事業費「たばこ情報収集・分析事業」による調査です。
国内でもこういった調査は既に行われていたんです。
参照:0330加熱式たばこの科学的知見(pdf)
アイコスなどの加熱式タバコに含まれる主流煙のニコチン量
加熱式タバコ | ニコチン量 |
---|---|
アイコス | 0.7mg |
グロー | 0.3mg |
プルームテック | 0.1mg |
アイコスの低減された有害性成分
有害成分 | 紙巻きたばこと比べた割合 | 低減率 |
---|---|---|
ホルムアルデヒド | 9.7% | 約90%低減 |
アセトアルデヒド | 14.0% | 約85%低減 |
アクロレイン | 7.3% | 約92%低減 |
ベンゾ[a]ピレン | 7.0% | 約93%低減 |
ベンゼン | 0.6% | 約99%低減 |
1,3-ブタジエン | 0.4% | 約99%低減 |
一酸化炭素 | 1.6% | 約98%低減 |
NNK(4-1-3-1-ブタノン) | 2.5% | 約98%低減 |
NNN(ニトロソノルニコチン) | 5.5% | 約94%低減 |
これらはWHOで特に低減すべきとされる 紙巻きたばこ に含まれる有害成分です。
見ての通り、アイコスでの喫煙は、それらの有害成分を大幅に削減していることがわかります。
参照:加熱式たばこエアロゾルの成分 フィリップモリス公式サイトより
紙巻きたばこからアイコスへの切り替えで生体応答が改善(2018年ニュース)
PMI は、同社加熱式タバコIQOS に関する最新の臨床試験結果を発表しました。今回実施した曝露反応試験(ERS: Exposure Response Study)では、成人喫煙者の方々が紙巻きたばこを継続して喫煙した場合と、IQOS 使用へ切替えた場合の生体応答を評価。6ヶ月後の試験結果では、心疾患・肺疾患を含む様々な疾患や炎症・酸化ストレスなどの生物学的メカニズムとも関連している8つの主要臨床リスクエンドポイント(Primary clinical risk endpoints)において、IQOS へ切替えることによる生体応答が改善されたことが認められました。
※曝露反応試験(ERS)の詳細
この試験はアメリカの喫煙者、約1,000人を対象に行い、半分の人には紙巻きたばこを、残りの半分の人にはアイコスに切り替えて喫煙させ、それを6ヶ月間の追跡調査を行ったそうです。
その結果、循環器疾患に影響がある「HDL-C(善玉コレステロール)」や、呼吸器疾患やがんに影響する「Total NNAL(たばこ特異的ニトロソアミン総量)」などの8つの項目で数値が改善したというもの。
参照:PMI 加熱式たばこIQOS に関する最新臨床試験結果 2018.718
FDAが「リスク低減たばこ製品」としてアイコスを認可(2020年ニュース)
アメリカでアイコスを販売するにはFDAの認可を受けないといけないのですが、まる2年却下され続けていました。
ところが2020年、これまで提出された科学的データによって、非喫煙者も含めた社会全体の健康にとって、アイコスを使用することが有益であると判断。
しかも、ただの販売認可ではなく「リスク低減たばこ製品」として認められたんです。
これはアメリカという国が、紙巻きたばこよりもアイコスのほうがリスクが低いと認めたってことで、凄いですよね。
米国で新しく何かを販売するにはFDA(日本の厚労省や消費者庁と同等機関)から許可を得ないと販売できないのですが、消費者と接触がある製品について、安全性の検査や違反品の取り締まりを行なっている審査が厳しい機関。
アイコスの受動喫煙による煙(蒸気)の影響(紙巻きたばことの比較)
紙巻きたばこ喫煙時とアイコス使用時のそれぞれの空気環境への影響を調べるべく、23種類の代表的な屋内空気環境の評価項目で分析した結果。
アイコス使用時にはニコチンとアセトアルデヒドが若干増加しましたが、基準値よりも大幅に低い結果となり室内環境を汚染しない=受動喫煙のリスクが低減していることがわかった、というもの。
参照:PMIサイエンス 加熱式たばこが周囲へ与える影響はどれほどか【前編】
アイコスでもタールが発生するケース(タールの仲間)
アイコスは正しい使い方をしないとタールの仲間でもある「多環芳香族炭化水素」(たかんほうこうぞくたんかすいそ)が発生します。
これは炭素を含む物質が不完全燃焼したときに生成されるもので、タールと同じく有害な物質を多く含んでいるんです。
どういう使い方をすると発生するのか?それは掃除を怠ったとき。
旧アイコスは掃除が必須のデバイスで、喫煙したあと挿し込み口の下に真っ黒く焦げた燃えカスが溜まりますよね、あれが「多環芳香族炭化水素」をもっとも多く発生させます。
つまり、喫煙後にしっかりと掃除をしないと、せっかくの加熱式タバコの優位性でもある「タールが発生しない」をいうメリットを無駄にしてしまうんです。
アイコス イルマ(テリア や センティア)は有害なのか?
アイコス イルマは①ブレードをなくし、更に、②専用たばこスティック(テリア や センティア)の構造も大幅に改良しましたよね。
この2つの改良により、加熱システム内にたばこ葉のカスがたまらなくなった為、先ほど説明した「多環芳香族炭化水素」もほとんど発生しなくなっています。
ブレードありのアイコスが有害物質90%カットだったのに対して、アイコスイルマが95%カットと謳っているのはこういった根拠がもとになっています。
アイコスイルマは有害物質 95 %カット(紙巻きたばこと比べて)
アイコスで禁煙にチャレンジすることも出来る!
アイコスは基本的にはタバコ製品ですが、それは たばこスティック を挿して吸うからです。
ですが、茶葉を使用したスティックに切り替えることで、IQOSの吸い応えはそのままで、ニコチンさえもゼロにしてしまうニコチンゼロ・スティックが人気を集めています。
様々なニコチンゼロ・スティックが販売されていますが、ナンバーワンブランドのニコレスについての記事を幾つか書いていますので、併せて参考にして頂ければ幸いです。
無理なく禁煙を目指す人にはおすすめの製品ですよ!
- NICOLESS(ニコレス) 一番人気
- NICONON(ニコノン)
- NFREE(エヌフリー)
- AMOOUR(アムール)
- NONNICO(ノンニコ)
- The Third(ザ・サード)
- Lolly(ローリー)
- LEME(レメ)
- EcoZero(エコゼロ)
アイコスは紙巻きたばこよりも有害なのか?結論
さて、この記事をお読みのあなたは、まだアイコスが紙巻きたばこよりも悪影響があると思いますか?
喫煙すればニコチンは含みますし、加熱時に微量とは言えタールや一酸化炭素も発生してしまいます。
ですが、数値的な結果はもちろんですが、日本の厚労省、そしてアメリカのFDA(食品医薬品局)が認めているのは紛れもない事実です。
アイコスを始めとした加熱式タバコには、喫煙問題を緩和していける大きな可能性があります。
日本にも「たばこハームリダクション」の考えが少しでも根付いてくれればと願うばかりです。
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