特許侵害でグローを訴えたアイコス

色々な喫煙ガジェットがあまりにも普通に発売されているため、「特許」というものの存在を忘れていました。

と言うのは、今年の6月にアイコスが突如グローを「特許侵害」で訴えたんですね。

アイコスを分解したことがないので構造についてはコメントできませんが、少なくともアイコスとグローは同じ高温加熱式たばこというジャンルではありますが、加熱方式は別だと認識していたので驚きです。

グロー擁するBATもかなり露骨なユーザー横取りプロモーションを行っていますから、内面的にはバチバチと火花が散っているのかもしれません。

今回は、問題のニュース内容と、あわせてアイコスが侵害されたとする特許などを交えてご紹介します。

アイコス訴訟のニュース

加熱式たばこ「アイコス」を販売するフィリップ・モリスのスイス法人が特許権を侵害されたとして、加熱式たばこ「グロー」を販売する英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の日本法人に販売差し止めと1億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことが8月3日、分かった。提訴は6月22日付。
引用元: 加熱たばこ「特許権侵害」アイコス、グロー側を提訴 / 日経電子版

そもそもアイコスがグローを提訴したのは6月と少し前、8月2日にグロー(BAT)の口頭弁論があったことから判明しました。

グローはもちろん請求棄却を求めて争う姿勢だそうです。

つまり、まだ裁判は始まったばかりで、万が一アイコス側が勝って要求が通ると、コンビニやたばこ屋さんからグローがなくなる可能性もあるということ。

ここで重要なのは、アイコスの言う特許とはどのようなものなのか?

特許関連のスペシャリストである弁理士の安高さんという方が、該当しそうな特許についてtwitterで呟いていました。

特許第3786698号

電気喫煙装置のためのシガレットを製造するための方法とそのシガレット

これはアイコスで使用するヒートスティックの製造方法と、ヒートスティックそのものや構造についての特許のようです。

電気喫煙装置のためのシガレットを製造するための方法とそのシガレット
【要約】2アップタバコプラグ(80)に関して交互に一連の2アップ中空プラグ(74)を樹立しそしてそれをタバコウエブ(66)と上包み(71)でくるみ;その結果の連続棒を予め選択された2アップタバコプラグの中点で切断しそして再び切断して関連した対の単独タバコ棒プラグ(60)を樹立し、関連した対のタバコ棒プラグの構成要素を離してその間に2アップフィルタ吸い口プラグ(240)を置き、そして引き続き、前記の間に入れられた2アップフィルタ吸い口プラグを単独タバコ棒プラグの隣接部と一緒にくるみ、そして、その結果の吸い口付き構造体を個々のシガレットに切断するステップを含むシガレット製造方法。この新規な方法により組み立てられたシガレットも提供される。

特許第3996188号

電気喫煙装置に使用するためのヒータおよびシガレット

この特許は加熱方式とヒートスティックについてですね、フィルター部分が本体から突出しているなど細かく書かれています。

電気喫煙装置に使用するためのヒータおよびシガレット
【要約】シガレット(23)はタバコ棒を含み、これは充填された部分と充填されない部分とを有し、これらは電気ヒータ素子(31)が両方の部分にオーバラップしてもよいように配列されている。前記棒は筒状タバコウエブを含む。前記ウエブはタバコ原料をタバコウエブの連続シートに転換しそしてこのタバコウエブの連続シートをシガレットの自動製作に適する一つまたはそれ以上のタバコウエブのボビンへ転換することにより構成される。ヒータ(25)は支持ハブおよび挿入されたシガレット(23)のためのソケット(27)を規定する電気抵抗ヒータブレード(37)を含む。各ブレードは各々第一端と第二端を有する第一並びに第二ヒータブレード脚、および第一脚の第二端を第二脚の第一端に接続する接続区分を含む。ブレード(37)は抵抗加熱回路により加熱されそして挿入シガレット(23)を加熱する。脚は吸引時の香味物質の同伴を許容するギャップだけ分離されている。

特許第3645921号

香味を送り込む電気喫煙装置およびその製造方法

加熱式たばこそのものについての内容と、空気を取り込むことで香りや蒸気を上手に送り込めるような構造についての特許です。

香味を送り込む電気喫煙装置およびその製造方法
【目的】タバコ香味材が入っている取替え可能なシガレットがライター内に入っている一組の電気発熱体によって電気的に加熱されタバコの香味または他の成分を蒸気またはエーロゾルの形態で発生して喫煙者に送る喫煙装置を提供する。
【構成】 シガレットとライターは、空気が横断してシガレット内に流入する空気流パターンを喫煙装置を通じて提供するよう構成されている。このパターンによって、エーロゾルおよび香味の喫煙者への送り込みが改善され、喫煙装置内のヒーター領域に残留する蒸気/エーロゾルの凝縮が少なくなる。

特許侵害の可能性について

特許第3786698号のヒートスティックの構造については、どちらも分解してみた手前、ネオスティックがヒートスティックの特許侵害と言うには無理がありますし、特許第3996188号の加熱システムはヒータブレード(加熱ブレード)について書かれている印象ですので、これも該当しなさそうです。

ですが、3つ目の特許第3645921号は、加熱式たばこそのものを定義しているようなので、これは該当する可能性があります。

空気を取り込んで・・・という点も該当しそうですし、ちょっと雲行きが怪しいですね(汗)

なぜ今になって提訴されたのか?

グローが仙台で発売されたのが2016年12月、約1年半も泳がせておいて、なぜ今さら提訴したのでしょうか?

提訴したのが6月22日ということで、2018年に入ってから6月までのグロー関連トピックスを調べてみました。

2018年1月・・・ポイントキャンペーンを期間限定で実施。
2018年2月・・・累計200万台突破記念として冬季限定モデル発売。
2018年3月・・・宮城県限定で「クール・ネオスティック」発売。
2018年5月・・・何かと問題の多かった2,980円キャンペーン開始。
2018年6月・・・コンビニ限定カラー3種を発売。
2018年6月・・・ネオスティックにブースト・シリーズ2種類が投入。
2018年6月・・・ポイントプログラムが定番化。

ただでさえ伸び悩みが顕著なアイコス陣営ですからね、グローの2,980円にはカチンとキそうです。

国内たばこ関連について圧倒的な力を持つJTについては、さすがのPMも敵には回したくないでしょうがBATは別。

アイコスを狙い撃ちするかのようなデバイスとマーケティングが、我慢の限界に達したとしても不思議ではありません。

世界のたばこメーカーTOP4の立ち位置とデバイス特性

たばこ業界で1位と言えばアイコスを擁するフィリップ・モリス(PM)でして、国内で発売されているデバイスは高温加熱式たばこのアイコスですね。

そして、世界2位に位置するのがブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)、こちらも国内で発売されているデバイスは高温加熱式たばこのグローのみ。

3位のJTはプルームテックを発売していますが、電子タバコと同じ構造で、低温加熱式たばこという別ジャンルで展開しています。

4位は先日マイブルーを発売し始めたインペリアル・タバコですが、マイブルーはプルームテックとほぼ同じ構造ですが、たばこ葉を使わないため、お手軽VAPE枠にエントリーとなります。

こうやって見ると各社微妙にジャンルをずらしているのですが、アイコスとグローだけがモロ被りしちゃってるんですよ。

しかもアイコスの欠点をカタチにしたようなデバイスの為、BATにシェアを奪われるのだけは許せなかったのかもしれません。

気になる訴訟の行方とJTの新型

この訴訟の結果はかなり重要で、訴えられただけでもグローの印象は低下しますから、これで一部でも請求が認められると、販売停止にはならなくても大ダメージを負う可能性は高いです。

更に言うと、アイコス側に軍配が上がった場合、今後発売を予定しているJT新型高温加熱式たばこ」も該当しそうです。

さすがに、国内たばこの番人「JT」様と言えども、アイコスのシェアを更に脅かすとなれば、黙ってはいないでしょうからね。

そういう意味では、BATにしてもJTにしても、この訴訟は絶対負けられない戦いということになります。

アイバディなどの互換機も全滅の恐れありですし、そんなことになれば加熱式たばこブームの更なる沈静化にも繋がりかねないので、BATさんには頑張ってほしいと願うばかりです。

あとがき

今の日本では、良くも悪くも私たち消費者に与えられている選択肢が多い時代です。

フィリップ・モリスがどんな特許を侵害していると言っているのかはわかりませんが、選択を狭めるような判決はやめていただきたいと思うばかりです。